お子さまの健やかな成長には股関節の健康管理が欠かせません。
生まれつきの異常や発達不良を早期に見つけて適切に対処することで、多くのリスクを未然に防ぐことが可能です。当院では新生児から乳児期にかけて、定期的に健診や検査を行い治療を実施しています。これにより、お子さまの股関節の異常を早期に発見し改善へと導いています。
股関節疾患の種類と特徴
- 先天性股関節脱臼
生まれつき股関節が正常な位置からずれてしまう疾患です。痛みがなく赤ちゃんが泣いて知らせてくれることも少ないため、外見からは気づきにくく発見が遅れこともあります。歩き始めや日常の動作の際に支障をきたすことがあるため、定期的な健診による早期発見、早期治療が必要です。
- 臼蓋形成不全
関節を包む臼蓋(くぼみ部分)が十分に発達しない状態です。関節の安定性が損なわれるため、長期的には関節痛や歩行障害を引き起こす可能性があります。見た目ではわかりにくいため、健診やエコーでの早期発見が重要です。
早期発見と適切な治療により、お子さまの股関節を正常に近い状態に育てることが可能です。
健診の重要性と流れ
生後すぐの新生児健診や1〜3か月健診、その後の予防接種と一緒に股関節の状態を丁寧に確認します。エコーや触診を用いて異常のリスクを早期に把握し、必要な治療や経過観察を実施します。気になる症状や左右の動きの差、歩き始めの偏りなどがあれば早めに受診しましょう。
異常のサインと早期発見のポイント
正常な股関節はスムーズに動き、左右対称です。親御さまが日常的に注意すべきポイントは次の通りです。
・おむつのラインや太ももの左右差
・足の長さの違い
・片側だけ動かしにくい
・股関節の硬さや腫れ
これらのサインに気付いたらすぐに医師に相談しましょう。歩き始めてからでは遅いこともあるため、普段からお子さまの様子をよく観察してください。
予防と日常のケア
股関節の健康を保つためには、抱き方やおむつの締め方に気をつけることが大切です。抱っこは股関節を自然な角度に保つように行い、おむつもきつく締めすぎず、適度なゆとりを持たせてください。また、不自然な姿勢にならないよう注意しましょう。遊びや運動では、股関節の柔軟性や筋肉をバランス良く育てることも重要です。
治療と対応方法
異常を発見した場合は、状況に応じた治療を行います。生後すぐの診断であれば、おむつの当て方や抱き方で改善することがあります。3~7か月では装具による治療が一般的で、重度の場合は手術も選択されます。早期に治療を開始すれば、回復や正常な発育もより確実です。最適な治療方針は、医師と相談しながら決めていきます。
まとめ
股関節のわずかな違和感や気になるサインに気付いたら、定期的な健診や検査を受けることが、お子さまの健康を守る最良の方法です。これにより、早期に異常を発見でき治療することで、将来的にお子さまの健康や運動能力に大きな差が生まれることがあります。当院では、丁寧な診断と分かりやすいアドバイスを行い、お子さまの健やかな発育を支援しています。お子さまの未来のために、どうぞお気軽にご相談ください。