これは、これまでの治療が効果を発揮しなかった重症のスギ花粉症患者に対して期待できる選択肢となります。
特に、治療が不十分で学業やクラブ活動に専念できなかった子供たちや受験を控える大切な子供たちにとって、効果的な治療法となる可能性が高まっています。
ゾレア®とは？
スギ花粉が粘膜に付着すると、ヒトの免疫防御システムでIgE抗体が作られます。このIgE抗体がスギ花粉に結合することで、アレルギー症状を引き起こす物質が放出されます。
放出されたヒスタミンは体内のヒスタミン受容体と結合し、鼻水や鼻づまり、くしゃみなどのアレルギー症状を引き起こします。
ゾレア®はこのIgE抗体と結合して、ヒスタミンなどのアレルギー症状を引き起こす物質の放出を抑制します。
従来のスギ花粉症の治療薬は主に抗ヒスタミン薬で、放出されたヒスタミンが受容体に結合するのを防ぐ働きがありますが、
ゾレア®はヒスタミンの放出自体を抑制するため、スギ花粉症の辛い症状を効果的に緩和することが期待できます。
ゾレア®の治療について
治療方法
スギ花粉が飛散する2月～5月に治療をスタートさせます。治療は2週間または4週間ごとに受け、その際に皮下注射が行われます。
対象
保険適用は以下の条件を全て満たした方が対象となります。
- 年齢が12歳以上
- 体重20～150kg以内
- スギ花粉症患者で、血清特異的IgE抗体がクラス3以上の方
- 血液検査にて、血液中の総IgE値が30〜1500IU/mlの方
- アレルギー性鼻炎の抗ヒスタミン薬の効果を感じる事ができず、スギ花粉症において、診断が重症または最重症とされた方。
治療費
小児は12歳以上に適応され、医療助成制度（こども医療費など）の対象となります。この治療薬は保険適用で、
3割の自己負担がありますが、新しい治療薬のため費用が高額になります。
投与量は体重や年齢によって変動し、それに応じて費用も異なります。
具体的には、70歳未満で会社勤めの方（3割負担）にとっては、月1回の投与で1回あたり約7,000円から
約55,000円の範囲で窓口での支払いが発生します。
治療における注意点
ゾレア®が働きを抑制するIgE抗体は、寄生虫感染に対する防御機能も持っています。
そのためゾレア®を使用中の時は、寄生虫感染のリスクが高い地域へ旅行するときは事前に医師にご相談ください。
めまいや眠気でぼんやりすることもあります。自動車の運転や危険を伴う機械の操作を行うときは注意が必要です。
ゾレア®による治療の流れ
投与日を入れて合計で3回の受診が必要になります。
初回診察
問診を行い、スギ花粉症が重症または最重症であるかを診断します。
その後、1週間にわたり既存の治療（抗ヒスタミン薬、点鼻ステロイド薬など）が行われます。
2回目診察
初回治療後、効果の有無を診察で確認します。同時に、採血を行い、スギ特異的IgE抗体値と総IgE値を測定します。
なお、以前に血液検査を受けたことがある方であっても、本治療に際しては再度血液検査が必要となります。
3回目診察
採血の結果に基づき、ゾレア®の適応かどうかを判断します。
ゾレア®が適応する場合、治療が開始され、効果は投与数日後から2週間後に現れ始めます。
その後は、2～4週間ごとに注射が行われます。
当院でゾレアの治療にご興味をお持ちの方は、どうぞお気軽にご相談ください。
